2001年10月19日 
「障害者欠格条項をなくす会」と警察庁運転免許課の交渉から
要約筆記録を元に編集 文責:なくす会
発言記号○ 障害者欠格条項をなくす会 精神病・難病・視覚・肢体・聴覚などの障害当事者と関係者
発言記号■ 交通局運転免許課3名 理事官・警視正,課長補佐・警視


○なくす会から意見書(9月に提出したパブリックコメント)の要点説明。内部障害、心臓障害の人が、更新のときに危ないと一方的に運転条件を取り消された例もある。なくす会ニュースレター付録として、寄せられた意見や体験を要約したものをここに配布したが、こうした体験がたくさんある。障害や病気をもっていることで、危険と決めつけられている。現段階は政令の見直しだが、施行規則も早期に見直す必要があり、それは国会でも議論になっている。今日の参加者からも、原付2輪の免許は取得しているが視力障害を理由に普通免許が認められない例について、科学的根拠を聞きたいと言われている。

■6月20日に道交法が改正され、運転免許の欠格条項は廃止された。一方で、自動車の安全な運転に支障があるとされる者については、政令でその基準をこれから定める。9月6日に、政令の改正試案を出し、今、検討の最中。
いくつかの関係団体から、話を聞いた。そういった関係団体の話や、これまで私どもが調査したことを元に、今の段階で試案を提示した。ただ、これは、あくまでも、意見を聞きたいと思って出した素案。現在、それぞれいろんな意見を聞いている。
今回もその一環。家族・学会・患者などの様々な関係の人に話を聞いている。まさに意見を聞いている最中。法律自体は、6月20日に交付されたので、その一年以内に施行する。来年の6月をめどに施行することになる。6月19日が期限。それまでに定めないといけない。国民にも重大な影響を与える中身なので、できるだけ早い機会に施行したいと思っている。政令がいつになるのかは未定。当初は、年内と考えていた。今もそう考えているが、年明けの可能性もある。そういった意味で、警察庁の外には、まだ中身は出ていない。ずっと検討している段階。

○現状からいくと、東京などの都市では交通便がいいが、田舎に行くと車に乗らざるを得ない状況がある。そういうことについて、どう考えるか。交通機関がない。バスも一時間に一本など、あまり走っていないのが現状。地方に行くとより困難を感じる。自分は松山出身。地下鉄もない。免許がないと困難な地域があるということを頭に入れておいてもらいたい。
○以前の交渉の時に、政令改正試案を11月頭に出すと聞いたが。

■そうしたいと考えているが、いろいろと意見を聞いている。まだ、十分出してもらっていないと考えているので、遅れる可能性がある。大事なことを言い忘れた。政令改正試案は、もう一度公表し、一ヶ月くらいの期間で意見募集をかける。そこで、もらった意見を再度検討させてもらい最終案を出すという流れになる。本日、特に、皆さんに伺っておかないと、と思っているのは、政令の改正のことについて。私たちは、政令関係中心に話ができればと思っている。

○政令素案に対するパブリックコメントは、何件あったのか?

■9月7日から募集して、28日で、一応の締め切りをした。その後に来た意見も聞いてはいるが。数としては、約1300件。病気関係で、約200件来た。

○それらの意見については、今後、公表されるのか?

■今、集計中。それを元に、私どもで、改正試案の参考にしている。改正試案を公表するときに、頂いたパブリックコメントも示すつもりでいる。

○今、中間段階だと思いますが。今後、政令としてまとめていくときの方針を聞きたい。どのような考えでまとめるつもりなのか、コンセプトを聞きたい。

■私どもとしては、それぞれの病気、障害を含めて、それぞれの項目について、諸外国の状況を考えて、素案を示した。それについては、医療の立場からの意見もある。外国のことについても、意見を聞いた。それらを参考にして修正をしたいと思っている。患者の家族、本人の意見も聞いているので、その辺も参考にしなくてはいけないと思ってはいる。それぞれ、 「意見はない(素案のままでいいのではないか)」とか、「素案に賛成」という意見もいただいている。素案通りとする意見もあるので…。ちょっと、ここについては検討中で、この場では、具体的なことは控えたい。例えば、自動車の運転に関しては、「安全な運転に支障があるかどうか」が、主たる要素。その観点で、意見をもらっている。その中で、今回の素案に対して、この書き方では、「広い」または、「狭い」ということがあれば、それを聞きたい。医学的な知見で合理的根拠があれば、それで、修正したいと思っている。

○台東区でセルフヘルプグループをしている。私たち精神障害者の団体で、昨年、運転免許について調査をした。対象は、全国のセルフヘルプグループ。はがきによる回収をした。有効数は125。多くの人たちが運転免許を持っている。さきほど他の人も言ったとおり、仕事につくにも生活するにも、免許は必需品だからだ。今回、「発作」だとか、「幻覚症状」について書かれていることをみると、前よりも厳しくなっているという印象を持つ。病は、きちんと治療に行っていれば、危険な状態にはならない。自分にも医者にも危険な状態というのはわかる。なによりも、医療中断をおこさずに社会で生きていくことが大切。免許を持っていた人たちが、免許を取り上げられてしまうかもしれないとなると、それによって医療中断が起きてしまうかもしれない。病を隠さずに、生活していくことが一番いい状態。精神障害は、現状ではまだまだ、偏見や差別が強いために、隠さざるを得ない状況にある。病気をもっていて勤めている、ということを言えなくなってしまう状況ができてしまう。せっかく、セルフ・コントロールしてきたものが、かえって制限がつけばつくほど、生活しずらくなるということをわかって欲しい。今でも、精神科に通っていることは、秘密にしておきたいこと、になってしまっていることがある。それで、正採用するといわれても、自分が精神科に通っていることがばれるのをさけて、やむなくパートを選んでいる状況がある。運転免許とか、その他いろいろなものについている「欠格条項」がすごい縛りになってしまっているということをわかって欲しい。昨年の調査は、みんなが不安になっているということを伝える調査だった。自己管理しているので、現実には事故は起きていない。飲酒運転などに比べると事故率は低い。高いというのであれば、その合理的理由を示して欲しいと強く感じる。

■そのような病気の方が事故の確率が高いから、だめといっているのではないが…。不幸にして、個人としては、何も悪いことはしていないが、結果として、病気の結果、治療の結果として、運転が危険な状態で事故を起こして、不幸な結果となって、重くその後にのしかかってしまうことがあるかもしれない。そういったことを一件でも減らしたいと思っている。そのような事故の可能性がある方を過不足ないかたちではずしていきたい。実質面を、欠格条項ではなく…。
私たちは、精神病の方は、免許を持っていないという認識でいた。以前の法律でいけば、本当は免許をもてない方だ。だから、これまで母集団がいないのだから、精神障害に関する事故率の調査はしていない。精神病にかかっている人と、かかっていない人との比較はない。必要な処置を今後とっていこうとしているところ。

○他の人も同じ意見と思うが、事故を起こす可能性があるので、縛りをかけるというのは、ますます、納得できない。理由は何なのか、不明だ。

■精神分裂病すべてを対象とはしない。素案にもそのように書いた。精神分裂病のなかでも、いろいろな人がいることを前提としている。安全な方も含まれることを前提にしている。

○分裂病の話が出たが、文言では、幻覚の症状をともなう精神病という書き方をしている。私たちは「幻覚を伴う精神病」という言葉を使うことによって、従来の差別や偏見が助長されるのではないかと考えてきた。精神病と聞いただけで、「幻覚」ということを連想してしまう可能性すらあると思ってきた。交通違反取締まりの現場で、何かのきっかけで、病歴の質問をする、ということがあったりすると聞いているが。

■いきなり、直線道路で壁にぶつかったとなれば幻覚が理由と考えることもあるだろう。原因の一つを探るうえで、いろいろな質問をするかもしれない。しかし、病歴をいきなり聞くことはないと思う。原因究明は必要なことだと思うが。

○はっきりいって、[幻覚を伴う]という書き方はやめてほしいわけです。
○安全運転に支障があるかどうかを問題にするのは、当然だが。幻覚ということを言うのはおかしいと思う。

■それは、すでに、国会で成立した法律に書かれたことであって、国会のご意思で、そうなったことです。

○実際に事故や違反があったとき。事故原因の究明はするわけだが。そのときに、事故を起こした当事者に病歴を聞くことがありますよね。

■とても考えられない、事故を起こした場合は[幻覚]なども予想する場合はあると思うが、疑いがあるような事故形態の場合に限ってということ。一般的に聞くことはないと思うが、疑いがある場合は、聞く場合はあると思う。

○その中で病歴も聞くことがあり、病歴の質問に答えるかどうかは任意であっても、臨時適性検査を受けて下さいとなった場合、本人の拒否は認められるのか?

■臨時適性検査については、今回の法律で決められた。今までも臨時適性検査は受けなければいけないが、それを有効に機能させるために今回の法改正があった。

○素案に出ているようだが、分裂病=幻覚と捉えられがち。幻覚について、どうとらえているのか?具体的には「幻覚」というのは何ですか?

■幻聴ももちろん入ります。妄想は入っていない。分裂病とは言っていない。

○セルフケア、セルフコントロールについてはどう考えますか?

■セルフケアできている結果として生活できている人は、取締りの対象にはしない。セルフコントロールできているかどうか…。状態については、よくわからない。ただ、学会のほうからも、意見を聞かないといけない。それらについては、質問している段階。ガイドラインを詰める必要があると考えている。寛解の状態にある人は、処分の対象にはしない。

○その辺の線引きは検討中なのですか?

■寛解の状態についても多義的に使われていると聞く。不完全寛解とか、エピソード性…といったことについては、学会に問い合わせ中だ。われわれも、合理的にしたいので、医学的な知見に基づいた見解を聞きたいと考えている。

○当事者の声は聞くのですか?

■まずは、医学的にどう見られているかがないと判断ができない。そこが基本だ。

○鑑定医によって、意見が違うと思うが。
○学会とは、どの学会ですか?

■精神神経学会。

○私自身、非定型精神病で通院している。東京で暮らしているので、免許は持っていない。もし、私がこれから免許を取ろうとしたとしたら、普通に取れるのですか?

■今まで通りであれば「精神病」という診断があれば、道交法88条の欠格条項があった。

○でも、今まで、免許を取ってきた人が現にいるわけですよね。試験に受かって、講習を受けて。みんな、私レベルの人は、取ってきた。それではいけないのですか??

■法律上は、精神病の診断を受けた人は、免許を取れないことになっている。
これからは、今までは取れなかったところを、政令で定める病気に該当しない人は取れることになった。今、見直し素案の段階ではそうなる。今、具体的に政令を定めている最中で、自動車の安全な運転ができないと判断される場合は、免許は取れない。その範囲を合理的に確定するために、今まさに考えているところ。

○医者や主治医の判断や診断書、手帳によって決めるのですか?具体的にはどうなるのですか?具体的に、医者の診断書を提出するのですか?誰が、取るべきではないというのですか?とってもいいという証明書を医者に出してもらうのですか?

■まず、原則。誰が判断するかと言うと、公安委員会の判断になる。ただし、公安委員会には、医学等の専門家がいないので、具体的には、本人が提出した診断書を見て、「これでとれるか?」という相談があった場合、それを吟味する。公安委員会の指定する医者や、主治医で、判断する。判断材料として、診断書もあるし、公安委員会の指定する医者の判断もあると思う。本人の申請がまずある。

○本人が、やむをえず病気を隠して免許をとり、試験に受かった場合は、罰則規定などを考えているのか?

■隠して取得することを奨励するわけにはいかない。
■質問をするとすれば、どうするか検討中。はじめに、申請書に質問欄を設ける。幻覚の症状を伴う精神病についてもその時点でなんらかの形で明らかになるようにする。その処分に該当する可能性がある人については、そうなのかどうか判断する。どういう質問にするか、いろいろ意見を聞いて考えたい。

○その理由を教えて欲しい。危険があるという判断を誰がするのか?お医者様の判断を仰ぐのですね。

■医者の判断が重要だが、最終的には、公安委員会が責任をもって判断することになる。

○知的障害のばあいは、こういうしばりはかからないのですね。それは良いことと評価しているが、なぜ、知的障害に関する欠格条項は外れたのですか?

■運転に支障のあるような知的障害であれば、学科試験には通らないだろうと考えた。学科試験に通る人は、知的障害ではないと考えた。

○では、なぜ、精神障害はダメなの??

■知的障害の場合は、認知・判断のところの能力が、安全な運転に達しているかどうかが問われる。安全運転に達しているかどうか。精神病の場合は、安全運転の判断が別のところにある。いわゆる、症状のなかでも、幻覚とかいったことで、事故に至ってしまう可能性がある部分を取り出して政令で規定することにした。知的障害の場合とは、別だ。

○教習所で教習を受けて、試験を受けて免許が取れた。それに耐えられる人は、欠格条項には入らないのではないのですか?具合悪いときには乗らないと思う。幻覚の症状がひどいときは休んでいると思います。

■症状に関しては、不定期だと思うが。教習所を無事終えていただいたとしても、それで、合格されたとしても、しかし、それだけでは、安全をはかれない部分が残っている。合格したのは、症状が安定したときであって、不安材料はあると考えた。

○精神障害の人の生活実感を聞いていない。頭だけで考えているのではないのか。精神障害の人も、自分で、自分自身のコントロールができている。自 分で運転するかどうかを判断することができる。

■何度もいうが、改正前は、精神病の人は、免許を取れない人だった。だから、見直しをして、寛解の方には、免許を取ってもらうことになった。

○精神科医に聞いたところ「寛解」には、明確な定義がないといわれている。
○学会にも聞いていると言っているが、精神神経学会の人にもきちんと聞いたか?

■今、いろいろ教えてもらっている段階だ。学会での意見がどうだったかについては、この場ではいえない。言う段階にない。学会の中でも、いろいろの意見があるので、統一した見解は、まだなので。

○統一見解が出される見込みがあるのか?

■我々には、わからない。

○学会から、統一見解がある、といわれているのか?

■詳しいことはわからない。極端な話、精神分裂病でも、運転していい人と、してはいけない人がいる。どこで線引きするかはわからない。境界について、どこまで統一見解がでるかは、現在検討している最中。

○学会が、私たちの生活を保障しますか?学会学会というが、誰でも決して事故を起こさないとはいえない。個々人が事故を起こさないように注意して免許を使って生活していくのであって、たとえば「私は会社を休む」という責任は最終的には個人が持つしかない。それは学会には判断できない。学会という人間がいるわけではない。
○絶対欠格だったので「いないはず」というが、それは本当に頭の上での話。取らざるを得ない現状がある。公共交通機関が発達している点で東京は特別。埼玉や千葉、神奈川でも、移動の足に運転免許をもつんですよ。就職のための基礎的な資格として持つことが求められてもいる。自分で、病識があるので、疲れたときは休む。自分でコントロールできる。当事者のセルフ・コントロールの実績を尊重して欲しい。
○免許申請時の届出義務についてだが。法律本則で話されていないが、政令を定める段階で検討事項になっているのか?

■なっている。それについて、意見があれば、当然に検討すべきと思う。いろんな団体、患者団体から、安全運転するのは、自分たちの義務なので、届け出義務について、賛同をしているところもある。プライバシーの問題もあると思うが。必要な情報を合理的に申請してもらうための方法を考えている。どういう聞き方ができるか、考えている最中。学会の方への批判はうけたまわるが、医学的なことも参考にしたい。ストレートに何病ですか?という聞き方はしない。

○「免許申請や更新申請の際などに、運転に影響を及ぼすような病気の申告を義務づけさせるべきではないか」というのは、どこからでてきたのか?

■改正試案にあわせて「運転者対策についてのパブリックコメント」を募集した。同時期に、点数制度、など、ほかの見直しもあったので、いろいろな意見を聞いた。運転者対策についての要望を項目立てして、そこからでてきた。改正案に対するパブリックコメントと同時期に、まったく同時に、[運転者対策に関する意見の募集]。今、資料を持ってきます。

○普通の人でも、状況にあわせて、運転をしない日もある。例えば、テストを工夫するなどして、最低、合格するということだけを免許取得の条件にしたらどうか。本人が安全運転を心がけてやるという意思をもっていることを前提にして欠格という発想ではなく。
○免許申請時に、仮にとどけることを義務付けることになると、最初の時点で壁になる。ずっと監視されているような感じがついてまわる。そうすると、かえって隠してしまう。余計にふれない、隠して取れるものなら隠そうとなる。従来よりも隠そうという人が増えるのではないか。

■そうですね。はい。なるほど。意味がないことになりかねない。負担をかけながらということですね。わかりました。それは、承ります。これまでも、そういったことは聞いている。そこについての懸念は、いままでもあったが、一方で、必要だという障害者関係団体もある。それを総合的に考えて、最終的な案を出す。

○付帯決議にもあるように、社会参加との両立などとも関連させて欲しい。

■今までも、社会参加との両立という観点から検討している。

○申請時の申告が必要、当然、といっている人がいるのですか?

■全般的にいろいろな人から話を聞いているので、そういった意見もある。

○必要だといっている当事者関係団体というのは、どこの団体ですか?精神障害をもたれている団体が、言っているのですか?家族なのですか?職能団 体なのですか?

■当事者団体です。病気にまさにかかっている人たちの団体ですが、それが何なのかは、申し上げられない。ご本人です。当然申告すると言っている。
精神の団体ではない。処分対象となる、定めようとしている病気にかかっている患者の団体からの意見でも、いろいろな意見があるということです。

○発作や、幻覚症状を持つもの以外でも、しばりがかかる病気が想定されているのですね。

■失神を伴う病気だとか、睡眠にかかる病気だとか、低血糖病といったことです。それについては、考えている。なにがしかの規定を設けようと考えている。

【道路交通法施行規則について】

○9月20日に施行規則について個人の立場で意見書を出した。現行の施行規則が変わらないと、自分くらいの障害でも受けられない。施行規則を変える予定があるかどうか聞きたい。ちょっとの緩和もないのはおかしいと思う。交通環境も変わってきている。欠格条項の会の趣旨としては、視力基準はなくして、運転をさせていただいて、適性を判断してもらいたいが、そうならないのか?視力についても根拠を聞きたい。

■今日は政令改正の話。適正試験は施行規則の問題。適正試験の合格基準の話。今まで言ってきたのは、合格したとしても、免許が取れない方の場合。
今回の意見募集はそれに関して。政令に関して。もちろん、意見を聞かないわけではないが。視力については、日本の交通環境の中で、0.8など、いろいろあるが、視野を確保されないと、たとえ技能試験に合格したとしてもだめということ。今日は政令のみの話しかできない。

○来年以降もおなじ施行規則なのですね。

■現時点では、適正試験に関しては変更の予定はない。今回は、運転免許に受かる可能性のある人の処分にのみが対象です。

○国会の付帯決議も、政令のみを対象にしているとの認識ですか?

■今回、道交法88条の欠格事由を廃止。そのかわりに、免許の拒否等の基準を定めることになった。政令に委任された。それを定めるにあたっては、意見を聞くようにといわれた。その対象は、「政令」の部分です。交通の安全を確保しつつ見直しを行うこととされているので。国会の意思に基づいて今後われわれに課せられたのが、政令を定めることです。

○自動車の運転にあたり、補助的手段に関することは、[施行規則]にも関わる。付帯決議にこういったことが書かれた以上、施行規則の見直しも当然課題になると思うが。むしろ早くに改正してほしい。急ぐ課題として、認識して検討して欲しい。
○そこをできるだけ早くに検討してもらわないと。

■はい。もちろん、障害者の社会参加の支障にならないように、そういったこと諸々を検討したい。結論がいつ出るかは、とてもいえないが。気持ちは、承知した。他の団体からも聞いた。一つ一つ、確実に前に進めていくことが大切なので、時間がかかることを理解して欲しい。

○科学的根拠がないのはおかしい。精神の話でもあったが、科学的根拠をはっきりしてほしい。なぜ、だめなのか。それをはっきりしてほしい。科学的根拠がないと納得できない。どうして考えてもらえないのか。疑問だ。
○聴覚障害の場合、補聴器をつけて90デシベルの音を10メートル離れて聴こえるかが境界になっている。

■全体のなかで考えます。

○施行規則を次の課題にして欲しいということは認識してもらいたい。具体的に、設定する段階で、当事者の声を聞いて欲しい。
○「積極的に認めていく」というコンセプトをきっちり打ち出して欲しい。
○個別の条件を見ていって欲しい。ひとりひとり違う。

■それは個別に見ていくということに、法律では変わっている。

○ただ、視覚障害については、現在変わっていない。それをよろしくお願いしたい。一般の人たちにもメリットがあるだろう。信号機でも、一般の人も見えにくいかもしれない。みんなが安全になっていくためのことを言っているのであって、自分だけのことをいっているのではない。
○欠格条項の見直し、というのは、本来、法令の見直しであって施行規則も含むはず。

■試験の合格基準は、欠格条項には一般的にはあたらないと思う。

○施行規則に示された試験基準。試験の合格に関しての基準は、欠格条項の検討課題のはず。

■それは、欠格条項とは、別問題だと認識している。欠格条項見直しの範囲に、施行規則は入るが、合格基準に関しては欠格条項には当たらないと思う。推進本部決定では試験の合格基準までは問題にしていないと思う。*

*末尾の部分は、時間超過で平行線のまま終了した。
政府の障害者施策推進本部文書(1999年8月9日『障害者に係る欠格条項の見直しについて』)は 「障害者に係る欠格条項」について

「免許・資格又は業の許可等に当たり、当該業務又は行為を行うために必要と認められる知識・技能の他に身体又は精神の障害を理由として、免許・資格、許可を与えず又は行為を禁止することを定めた規定等をいう」としている。

そしてこれに基づき各省庁が見直し対象とした中には、すでに国土交通省が見直しを行った船舶職員法施行規則のように、身体検査基準も含まれている。従って、警察庁の上記の発言は、施行規則の適性検査など試験の合格基準が欠格条項に該当しないという見解は誤りであり、試験の合格基準を見直さないという理由にもならない。

以下は、警察庁も把握済みのはずの調査研究

財団法人国際交通安全学会 研究調査活動の歩み
1980・社会的速度と精神的疾患

財団法人国際交通安全学会 研究調査活動の歩み
1985・聴力が運転に及ぼす影響に関する調査研究
1987・色覚異常が運転に及ぼす影響に関する調査研究


財団法人国際交通安全学会 平成11年度 研究プロジェクト報告 研究プロジェクト
運転免許に係わる欠格事由の在り方に関する調査研究 警察庁受託研究

 現在、わが国の道路交通法の規定においては、精神病者、知的障害者およびてんかん病者並びに目が見えない者、耳が聞こえない者、口がきけない者等身体に一定の障害を有する者には、運転免許を与えないこととされている。
 しかし、「障害者の社会参加」の必要性が叫ばれている今日、資格等の制度において、このように障害を「欠格事由」とする条項の改正に係わる見直しを行うことが求められている。したがって、道路交通法において身体障害者等には運転免許を与えないこととされていることについても、交通の安全に配慮しつつ検討することが、今後ますます重要になると考えられる。
 本調査研究は、このような問題意識のもとに、諸外国の運転免許制度における精神病者等および身体障害者等の取扱いについて調査研究を行うとともに、精神病者等の意義、分類等を最新の医学の知見を取り入れつつ明らかにすることにより、今後の「欠格事由」の在り方を検討する上で必要な調査を実施した。

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