10.18 学校教育法施行令等改悪に抗議する緊急集会 アピール

 21世紀の最初の年に文部科学省はとんでもないことを起こそうとしている。それが、学校教育法施行令22条の3を初めとした政令、省令、通達などの就学基準の大改悪である。
 「中等度の知的障害児の小学校の受け入れ」「介助員を配しての肢体不自由児の受け入れ」が不適当であり、「日常的医療ケアが必要な子の受け入れ」「行動障害で対人関係形成上問題のある子の受け入れ」が違法であるならば、多くの障害をもつ子は、普通学級、地域の学校に入れなくなり、既に入っている子も追い出されてしまうことになる。
 かつて1979年に、養護学校の義務制が実施された。就学猶予、就学免除をなくすという美名の下に、その年全国で数千名の子が普通学級、地域の学校から、特殊学級、養護学級へと追いやられたのである。
 しかし、それから20年余たった今日、文部科学省の意図に反して、地域で共に生きる教育を求める子はあとをたたない。東の金井闘争、西の梅谷闘争は大地を揺るがす強力なたたかいとして長期にわたって普通学級への転校・就学を求め、勝利した。以来、北は北海道から南は沖縄まで自主登校、自主交渉、裁判闘争など様々な形で、その闘いが継続され、繰り広げられてきた。選別・別学を拒否し、共生・共学を求める「うねりは、いくつもの悲しみや悔しさをのりこえ、広く国民の支持するところとなった。学校の門を開き、友と手をつなぎ、晴れやかに卒業する子は増え続けているのである。
 文部科学省は、それを心から恐れている。あくまで選別、別学教育にこだわり、自らの足元がくずれていくことに我慢ならないのだ。世界のインテグレーション、インクルージョン教育を求める声に、わが国のみが異を唱え、特別な能力に応じた教育を主張している。
 「21世紀の特殊教育の在り方に関する調査研究協力者会議」はしょせん「特殊教育」のあり方にこだわるのみであった。特殊教育課は、特別支援教育課と名を変えたが、あくまで特別な教育への支援しか考えていない。今回の就学基準の見直しは「近代の医学、科学技術の進歩により、実態と合致しない面が生じていること」といいつつ、「知的障害は、医学、科学技術の進歩で基準を見直すことはない」と言い切る貧しい教育観に支えられている。
 その子の能力に応じた教育の結果、障害児の社会的自立は促されたというのだろうか。分けない教育、共に生きる教育の上にしか、分けない社会、共に生きる社会は見えてこないことが、文部科学省の人には全くわからないのだ。介助が必要な子どもが受け入れられないなら、労働参加、社会参加の中で、様々な介助を必要とする障害者は、その要求がまちがっているというのか。ボランティア教育は奨励されても、障害をもつ子は受け入れられないというなら、障害者は助けられるものとして別に生きていけというのか。
 この大改悪は、障害児を普通学級からしめだし、21世紀の特殊教育の在り方を根本から歪め、障害者を初めとした社会生活上の困難をもつ人を生き難くさせる、反福祉的な政策でしかない。
 しかも、この大改悪が文部科学省という密室の中ですすめられており、未だ、障害者、家族、教育関係者にとどまらず、広く国民に知らされないまま、進められようとしている。
 わたしたちは、今こそこの大改悪を広く国民、マスコミに知らせ。議員や自治体関係者に立ち上がりを求める訴えをおこさなければならない。これから、共に地域で学ぼうとする、既に学んでいる障害児やその親、教育関係者の怒りと行動のみが、この暴挙を止めることができるだろう。
 本集会は、その始まりであり、この大改悪を許さない闘いの輪を広げる出発となる。この闘いがこの暴挙を止める日までやむことはないことを、本集会参加者一同は、強く決意するものである。

2001年10月18日             緊急集会参加者一同

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