てんかん総合対策要望書

要望団体 社団法人日本てんかん協会
         会長 鈴木勇二
     162-0051東京都新宿区西早稲田2-2-8
    (福)全国心身障害児福祉財団ビル内

この要望書は国会及び次の三省を中心に関係機関へ提出します。
厚生省/障害保健福祉部、保健医療局国立病院部運営企画課
文部省/体育局学校健康教育課、初等中等教員局特殊教育課
労働省/職業安定局高齢・障害者対策部障害者雇用対策課

趣旨
 脳の慢性疾患であるてんかんは、遠い昔からその存在を知られ、多くの人 々がこの病気に苦しめられてきました。てんかんと一口に言っても、発病年 齢や症状が人によって異なり、発作以外にも様々な身体的、精神的、神経的 症状を伴うことも多く、その障害の程度は複雑で多岐に・渡ります。また、地 域社会に古くからある誤解や偏見に苦しめられ、日常生活上でも多くの困難 を抱えています。それらを改善するため、本人や家族はもちろん、医師やそ の他の専門職も努力をはらってきましたが、政府の施策の充実、強化なしに は根本的解決は不可能であり、医療をはじめ教育、福祉、就労などについて のてんかんの障害に対する多面的で総合的な施策が必要とされています。
近年は「精神障害者保健福祉手帳」の創設や「障害者プラン」の策定実施 、青年後見制度の導入、欠格条項の見直しなどてんかんにとっても期待のも てる各種施策の取り組みが進みました。また、今年は「精神保健及び精神障 害者福祉に関する法律」の改訂が行われましたが、てんかんをもつ人達は依 然として適切な治療を受けることができず、受け入れる施設も限られ、働く 場の確保もままならず、収入の道を閉ざされたままという状況にあります。
 1997年より世界保健機構(WHO)、国際抗てんかん連盟(ILAE)、 国際てんかん協会(IBE)の共催による世界的キャンペーン(Bringing  Epilepsy out of the Shadow)が行われています。てんかんを持つわが 国の人々のみならず、世界の多くのてんかんを持つ人々が苦しんでいます。 私達はてんかんの患者とその家族が、病気を隠し、社会から隠れて生活する のではなく、人としての当たり前の生活が出来るよう政府と国会に対して、 次の事項を請願いたします。

請願項目

1)障害者計画の策定やその具体化の中で、てんかんについての具体的施策 を明記して下 さい。また、国として各地方自治体に対して地方自治体が策 定する障害者計画にてんか んの具体的施策を明記するよう適切に指導して 下さい。

2)てんかんに対する自動車運転免許についてはこれを相対的欠格条項とす るなどてんかんをもつ人達への各種資格、免許については根本的に見直して 下さい。

3)てんかんを障害者雇用率制度の対象にして下さい。また、一般就労が困
難なてんかんを持つ人達への授産施設、共同作業所の設置と拡大などの利 用を促進する施策を確立して下さい。

4)精神障害者保健福祉手帳を有する人達へのJRの運賃割引を早急に実現 して下さい。また、公共交通機関の運賃割引制度の拡充などてんかんを もつ人達への移動の自由を確保して下さい。

5)てんかんを持つ人達が各種施設への入所、通所が出来るようにして下さ い。また、てんかんをもつ人達へのグループホームの設置と補助金の増額 、頭部保護帽の給付など福祉対策の拡充をしてください。

6)国立療養所静岡東病院、宇多野病院、西新潟中央病院、山形病院、釜石 病院など今までてんかんセンターとして機能してきた各病院をてんかんの 専門病院として位置づけると共に、各県に一つはてんかんの専門医療機関 を設置して下さい。

  静岡東病院はそれら専門病院のセンターとして位置づけ、リハビリテー ション医療の 充実、療養型病床群の設置、授産施設、福祉工場、グループ ホームなどの併設を行ない、総合的なてんかんセンターとしての機能の充実 強化を行ってください。

7)難治のてんかんをもつ人々の具体的なニーズに合わせた施設の設置やデ
イサービスを充実させるなど、難治てんかんをもつ人々への特別対策を急 いでつくってください。

8)教師及び養護教諭などに対する教育センターや各学校での現職研修にて んかんを加えることや副読本の作成などにより、学校教育の場におけるて んかんについての正しい知 識と理解を定着させて下さい。

9)中央障害者施策推進協議会の委員及び専門委員にてんかんをもつ者、も しくはてんかんをもつ人達の福祉に関する事業を従事する者を任命して下 さい。また、地方障害者対策推進協議会においても、同様の処置が取られ ますように、地方公共団体を適切に指導 して下さい。

10)医薬品の治験に関する情報提供や治験体制の整備などを行い、抗てん かん薬などの治験及び承認審査の停滞を改善して下さい。

11)世界保健機構(WHO)、国際抗てんかん連盟(ILAE)、国際て んかん協会(IBE)の共催による「てんかんグローバルキャンペーン」 の趣旨に則り、政府によるてんかんのキャンペーンを進めて下さい。
                                 以上

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